喜入に伝わるお話~その2~
先日の香梅ヶ渕の話がなかなか好評だったので、もう一つ昔話を。
これは、喜入の渕田集落に伝わるお話です。
~唐人松~
むかしむかし・・・
喜入には唐人しがおいやったが、長い年月が経つと故郷が恋しか、唐船が港に来っとを そら楽しんにしちょったげな。待っちけんやったとよな。
ある日。。。待っちょった船が港に着いた。
唐人しは、そら喜んで、そん船に乗い込んで故郷せえ戻っこちないもした。
準備をして船に乗っといなって人数を調べてみたとこいが、一人足らん。
みんなでそら探したどん、どこにもおいやらん。
あしこ「戻いたか~、戻いたか~」ち言っちょったとに、そん人を一人残して行っとは がっついじゃねどん、船は航海の都合もあっで後ろ髪を引かるっ思いで出港したたっち。
そん出港のときにおいやらんかった人が遅れて港に駆けつけたときには、もへ船は沖合遙かに煙っちょったち。
彼はわっぜえ悔しがったどん、どげんもしやならんかった。
あんまい悲しかもんやっで、船の姿を追ってどんどん上の方に上がり、渕田の松ヶ平まで来たとき、遂に船の姿は錦江湾の彼方に見えんごなった。
彼は悲しさのあまり、松の枝に首をくくいやってけ死んだたっち。
村人たちはそん松を「唐人松」ち呼ぶようにないもした。
彼には知覧に恋人がおいやって、帰国にあたり別れを告げに行っちょって遅れたとじゃなかどかいと伝えられている(知覧町桑代集落に、唐人松にかかわる伝説が残っている)
唐人松は昭和56年の時点では渕田集落の松ヶ平に朽木一株が残りその下に墓が一基あるとのことですが、今はどうなっているのでしょう・・・
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